夏の陽射しが砂の広場に反射して、まぶしさで目を細めてしまいます。
その真ん中に、紅白の柱で飾られたやぐらが一基。四方に張り巡らされた電線には、同じく紅白の提灯が風に揺れています。少し離れた場所では、軽トラックが数台停まり、準備をしている人たちの声がちらほら。
山並みを背景にしたこの風景は、まるで絵葉書のようで、どこか懐かしい気持ちを呼び覚まします。今夜、この広場は音楽と人々の笑顔に包まれるのでしょう。小さな子どもは浴衣の裾をひるがえしながら駆け回り、大人たちは輪になって踊り、かき氷の甘い香りや焼きそばの湯気が漂う——そんな光景が頭の中に浮かびます。
提灯の赤は、昼間の明るい空の下では少し控えめに見えますが、日が暮れると一つひとつが小さな灯火となり、踊りの輪をやさしく照らします。それは単なる「明かり」ではなく、人と人とをつなぐ糸のようなもの。世代を超えて、同じリズムを共有する時間を編んでくれる存在です。
お盆は、帰省や再会の季節でもあります。遠くに暮らす家族や友人がこの広場で顔を合わせ、近況を語り合い、笑い声を響かせる——そんな場面が目に浮かびます。このやぐらの上から眺める景色は、きっと参加する誰にとっても特別なものになるはずです。
いよいよ今夜、やぐらの周りで踊りの輪が広がります。流れる音楽に身をゆだねていると、歩幅も呼吸も自然と合い、知らない人とも笑顔で視線が交わる——お盆の夜は、そんな温かいつながりを生み出してくれる時間なのかもしれません。
|