お盆を過ぎても、まだ空気の熱はやわらぐ気配を見せない。
けれど、ひとしきり人の気配を飲み込んだ海は、今はただ静かに波を寄せている。
誰もいない砂浜に立つと、潮騒の音だけが胸にひびく。
遠くの雲はゆっくりと形を変え、海面は陽を受けて透きとおる緑を揺らしている。
にぎわいを過ぎたあとの余白のような時間。
そこに立つと、自分の影までやわらかくほどけていく気がする。
夏はまだ続いているのに、もう少しで去ってしまうような気配もある。
そのあわいを感じながら、誰もいない海の静けさに耳を澄ませるのも、悪くない。
お盆を過ぎた海の静けさに
