稲が黄金色に近づいていく田んぼの脇に、ひまわりが立っていた。
夏の名残と秋の気配が、ほんの一瞬だけ同じ場所に重なる。
稲穂は風に揺れるたび、ざわざわとやわらかな音を立てている。
そのすぐ横で、ひまわりはじっと空を見つめたまま。
まるで「もう少しだけ夏を残していたい」と言っているようだった。
稲とひまわり。
実りと光。
それぞれが違う時間を生きながら、同じ景色の中で出会っている。
この重なりを、偶然のように思うかもしれない。
けれど、自然はいつもこうして、移ろいの境目をやさしく見せてくれる。
写真を撮るとき、ふと胸の奥が静かになった。
ああ、季節はこんなふうに渡されていくのだ、と。