川沿いに訪れる、夏と秋のあわい

風景

川沿いを歩いていると、草むらの奥から虫の声がこぼれてきた。まだ昼の暑さを引きずった空気の中で、その音だけがひと足早く秋を告げている。

水面には夏の名残の光がゆらいでいて、風が吹くと、葉の影が静かに揺れる。季節が交わる瞬間は、決して派手ではない。けれど、心の奥にふと染みこんでくる。

足を止めて耳を澄ませば、ただそこにある時間が、自分をやわらかく包んでくれるようだった。

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