午後のひととき、ふと窓の外を見ると、そこにはいつもの青空とはまるで違う、厚く重たい雲が静かに広がっていました。
その灰色の雲は、空のほとんどを覆い尽くし、まるで遠い海の底にいるような、そんな静けさを運んできてくれます。
雲の隙間から差し込む、わずかな光がどこか頼りなく感じられて、私はしばらくのあいだ、ただぼんやりと空を見上げていました。
静かな午後なのに、空の上では何か大きなドラマが始まろうとしている。そんな気配が、そっと心の奥に広がっていきます。
子どもの頃、嵐が近づくと決まってワクワクしたものです。強い風の音や雷鳴に少しだけ怯えながら、それでもなぜか、どこか遠い冒険の始まりのように感じていました。
今もなお、あの頃の感覚がふっと蘇ります。
「今日は何が起きるんだろう」「どんな雨が降るのだろう」——自然の力に包まれると、普段の悩みや小さな心配ごとも、一度リセットされるような気がします。
雲が渦を巻くその光景を、写真に収めながら思いました。
日々の暮らしは、つい同じことの繰り返しに思えてしまいがち。でも、ふと顔を上げれば、空はいつも違う表情を見せてくれます。