夕日を見に出かけると、時間の流れがゆっくりとほどけていくようだ。
水面に映る光は、黄金の糸をほどいたみたいに揺れていて、風が少し触れるたびに、模様を変える。
遠くの山の稜線に太陽が沈んでいく。見送るたびに思うのは、「また明日」という約束のような安心感だ。けれど、今日の夕日は二度と同じかたちでは戻ってこない。その一瞬にしか出会えない色合いがある。
ただ立ち止まり、ただ見送る。
言葉よりも静けさがふさわしい時間。
帰り道、体の奥に残った夕焼けの余韻が、しばらく灯りのようにあたたかく続いていく。