今日は川へ。
行き先は京都府福知山市大江町にある「二瀬川渓流」。
むずかしそうな名前なのに、不思議とやさしく迎えてくれる場所。
着いたとたん、空気がふっと変わった。
川の音、木々の影、蝉の声。
腕時計をはずしたみたいに、時の流れがゆるやかになる。
子どもたちは水着に着替えると、まっしぐらに川へ。
足をつけた瞬間「つめたーい!」と声をあげ、
そのままバシャバシャ、すぐに全身びしょぬれ。
赤いバケツと網を手に、川の中を冒険中。
ひとりは魚を追いかけ、ひとりは石のすき間をのぞきこむ。
「いた!」「あれ、ちがった〜」
声が渓流にひびいていく。
光をあびて、水面がきらきら。
魚やエビ、小さなカニまで顔を出して、
「ようこそ」とでも言っているみたい。
子どもたちは夢中で追いかけて、捕まえては逃がして、また追いかける。
その姿を見ている大人のほうが、むしろ元気をもらっている気がする。
しばらくして石に腰をおろす。
山からの風が気持ちよくて、
濡れた足を川に浸したまま、ただ空を見上げる。
空は青。
白い雲が流れていく。
胸の奥まで風が吹き抜けていくみたいで、
「夏って、いいな」としみじみ思う。
川の冷たさ、湿った空気、
それでも汗はすっと引いていく。
それだけで「来てよかった」と思える。
二瀬川渓流は、秘密の遊び場。
夏だけ開かれる、とっておきの小さな基地。
大人も子どもも童心に戻ってしまって、
「まだ帰りたくないなあ」と思ってしまう。
帰り道、子どもたちは車の中でぐっすり。
その寝顔を見ながら、心の中でつぶやく。
「また来ようね」
夏の冒険は、まだはじまったばかり。
今日の一日も、大切な記憶になる。