真夏の中に秋の気配 栗、アリジゴク
石畳の階段を上っていると、ふと目に留まった丸い緑色。
近寄ってみると、まだ殻が青々とした栗が、コロンと転がっていました。
真夏の空気の中で見る秋の実りは、なんだか不思議な感覚です。
まだ暑さは盛り。木々の葉も青々としているのに、自然は少しずつ次の季節の準備を始めているんですね。
栗のイガの柔らかいトゲは、光に照らされてキラキラと輝いていました。
静かな境内に漂う季節の香り
階段を登り切ると、そこには趣ある神社の境内が広がっていました。
木陰に入ると、真夏の日差しから解放されるようなひんやりとした空気。
石灯籠や木造の社殿が、時を超えて佇んでいます。
参道の両脇には、夏の緑と秋の気配が同居するような景色が広がり、
深呼吸すると、土と草と木の香りが混じった懐かしい匂いが胸に届きます。
足元に見つけた小さな穴の正体
ふと視線を足元に落とすと、砂地に小さなすり鉢状の穴。
これはアリジゴクの巣です。
アリジゴクは、成虫になるとウスバカゲロウという儚げな昆虫になりますが、
幼虫時代はこうして巣を作り、落ちてくるアリを待ち構えています。
境内の片隅で営まれる、小さな命のドラマに思わず見入ってしまいました。
自然が教えてくれる「移ろい」
真夏でも、注意深く見渡すと秋の入口がそっと顔を覗かせています。
まだ青い栗の実やアリジゴクの巣は、季節がゆっくりと動いていることを知らせてくれるサイン。
こうした小さな発見は、忙しい日常の中ではなかなか気づけないものです。
だからこそ、神社や森を歩くときは、少し足を止めて、
「今、この瞬間」にしかない自然の表情を見つけてみてください。
写真の中の石段や境内、そして小さな穴は、
季節の移ろいを感じるためのヒントをたくさんくれていました。
今年の夏も、きっとあっという間に過ぎていきます。
その中で、こうした「秋の予告編」を見つけられるのは、ちょっとした幸せですね。