黒壁の町に残る余韻 ― 長浜の佇まいに触れて

長浜 風景

町の佇まいに目を向けると、不思議と記憶に残るのは細やかな景色ばかりだ。
黒壁の土蔵にのぞく小窓、少しはがれた木の板、軒下にゆれる影。そんな何気ないものが、帰ってからも心の中に立ち上がってくる。
長浜
歩くたびに石畳のきしむ音や、ガラス越しに映る人々の姿が重なり合い、町全体がひとつの大きな時間を奏でていた。骨とう品屋の棚の上で眠っていた猫の像も、その旋律に加わっていたのだろう。
長浜
暮らしに戻ると、窓から差す午後の光に、あの町並みを重ねてしまう。木の壁に射し込む柔らかな日差しや、ひと休みする人々の姿。
それらは手元に持ち帰れないけれど、心の中で町がゆるやかに息づいているのを感じる。
長浜
旅は終わっても、佇まいの余韻が暮らしの中に滲み込み、日々の景色を少しだけ豊かにしてくれる。
長浜

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