風景

壁を染め始めた蔦の赤、木立を抜ける涼しい風、野に咲くコスモス。子どもの駆け足の音とともに、季節はゆっくりと秋へと傾いていく。

石段を照らすろうそくの炎と、境内に咲く和傘の彩り。静けさの中で揺れる灯りが、心をほどき、夜にやさしい余白を残してくれるお寺のライトアップの情景。

夕陽に照らされて銀色に輝くすすき。川面のきらめきと重なり合い、静かに季節の移ろいを映し出す。そのひとときに宿る、秋のやわらかな時間を綴るエッセイ。

大阪南港に広がるきらめく海と、夕暮れに染まる港の風景。遠くへ向かう船影を眺めながら、旅立ちと帰還、そして海の静かなまなざしに思いを重ねるエッセイ。

雲間からこぼれる光が水面を染め、鳥たちが静かに羽を休める。湾の夕暮れに立ち止まり、うつろいゆく瞬間のぬくもりを心に映す小さなエッセイ。

日本三景のひとつ「天橋立」。海と松が織りなす静かな調和と、空へ架かるような幻想的な姿。歩けば潮の香りと木々のざわめきに包まれ、日常を離れたひとときが広がる。

山と湖が寄り添う三方五湖。風にさざめく水面、夏の濃い緑と澄んだ空の青が重なり合う。静かな時間の流れの中で、心の奥に眠る記憶がふとよみがえるような旅のひととき。

夜空に星のように輝く京都タワー。人の流れの絶えない街で、変わらず立ち続ける姿に、旅人の心はふと安らぎを覚える。

白馬の山々を望む八方尾根。草紅葉に揺れるすすき、木道を歩く足音、澄んだ風と光。秋だけの静かな瞬間を綴ったエッセイです。